新春恒例のアレ

高田馬場雀荘Mに、9時集合のところ12時過ぎてから颯爽と登場するオレ。今年もある性癖においては絶好調のようだ。いやマジでその節はご迷惑をお掛けしました>各位
だが闘牌の結果は遅刻っぷりのようにはうまくいかず、むしろ豪快に点棒を吸い取られ、10時間ほど打ち続けた結果、具体的にはちょっと言えないが二晩飲めるぐらい負けた。あいたた。
同じく負け組でありキズを舐め合う間柄であるはずのペプオを高田馬場駅で「おめえなんてJRでけえれけえれ」と追い払い、キチガイと二人西武新宿線にゆられゴールデン街へ。「いやあ負けましたな」「負けたなあ」「でもま楽しかったですね」「うんまあね」
まだ三が日で開いてる店も少なそうだし、そもそもゴールデン街だとがっつり食える店って少ないよなあと考え、まずはHUBあたりで腹ごしらえを目論む我々だったが、入ってみるとコレがまた異様なほど混んでる。あとガイジン率すげえ高い。まあ実際に営業してる店舗数が少ないから、数少ない有名店にみんな雪崩れ込んでくるんだろうなー、ってんでなんだかレジもすげえ並んでてめんどくさくなったので、ここは諦めて向かいにある島根料理・主水へ。ここは以前おっさんと行ったとき、悪い意味で「適当で、ゆるい」感じだったのがずいぶんマトモになってた。料理もそこそこうまかった。
序盤は生ビールを順調にやっつけていたのだが、そろそろ腹も満足してきて、でもビールをもう少しだけ飲みたいなーとか無責任なことを言い出すキチガイそしてオレ。よし、じゃ瓶ビールか。瓶ビールですな。んでメニュー見たらスーパードライだって。
そこでキチガイが言う。
スーパードライの瓶って」
「うん」
「なんていうか法事感が強いじゃないですか、すごく」
「あーうん。ビールメーカーのロゴが入ったちっこいコップとセットで」
「そうですそうです。まあ今日はそろって負けたことですし」
「つまり精進落としか」
「『故人もさぞ喜んでいることと思います』みたいなね」
「ぎゃははは」
「親戚の伯父さんが中瓶片手に、そこらじゅうはいずり回ってお酌してんですよね。喪主の○○でございます本日はお忙しい中云々とかいって」
「黒い絹のソックスをなんとなく肌色に透けさして」
「透けますね」
「泣ける」
「泣けます」
それからゴールデン街入りを果たすがすぐには店に入らず、一通りぐるっと回っていつもとは違う閑散とした雰囲気を楽しんでから、満を持してマチュカへ。今日から営業という情報はあらかじめ確認済みだ。

最初のうちは結構ヒマなのかなと思っていたが、日付が変わる頃から店内は賑わってくる。終電がすべて終わる頃の時間には、カウンターの席は全てうまってしまった。
2時過ぎだったと思うんだが、突然、40過ぎと思しき女性が転がり込んできた。ふつうに店のドアを開けてそこをくぐって・・・という体裁ではなく、足はもつれ、前などほとんど見ずに、カウンターの後ろにあった丸椅子へ倒れ込むように座り込む。そして動かない。よく観察するとぶつぶつもごもご何か言っているが、はっきりした主張や、それを明示的に聞かせたい対象などはないようだ。
つまり泥酔している。
キチガイ、お店のNさんと交互に顔を合わせ、「どうする」「どうしましょう」「無理だろ」「無理ですよね」とアイコンタクトを取る。で、もう今日はやめておくよう促すとにわかに「この店は酒を飲まさないっていうんですか」だの「ここの客は変な人ばっかりだ(これはあながち間違いでもないような)」などとわめき始める。
しまいには上着を盗られた返せとか(前の店に置いてきてしまったようで、最初から着てない)さわぎはじめ、なんとか店外へ追い出したところでさらに激昂し、手にしたバッグでドアや窓ガラスを叩き始める。
うーん、こりゃ少しでも人的ないし物的損害があったら即110番するしかねーなと、それでもこちらから積極的に取り押さえたりするわけにもいかず眺めていたのだが、あらためて観察するとすごくうらびれたかんじのオバサンだ。どっちかというと黒目がちでぱっちりした目は、しかし漆黒の穴のごとく白目は濁っていてまるで死にかけた魚のようだし、手にしてハンマーのように振り回しているバッグもあまり上等ではないしストッキングには小さな穴が開いてたり。Nさんも初めて見る客だっていってたなあ。この時期に一見で来て超泥酔ってどういうことだよ。すさんでんなあオレも人のこと言えないけど。
さてどうしたもんか、まいったなと考えあぐねていると、そこへキチガイ馴染みのお店のマスターさんがたまたま通りかかった。彼に事情を説明すると実にうまいこと酔客をあしらって、ひるんだところをキチガイと二人で交番へ放り込んできてくれた。いやあ助かりましたってことで、マスターさんにお店から一杯ご馳走して一件落着。
そこから1時間半ほど飲んでるうちに閉店となり、出勤初日からひどい目にあってげっそりしてるNさんにいやあ年始から大変だったねおつかれさまつうてバイバイしてキチガイをカプセルホテルまで見送って中央線で帰ってきて寝て昼過ぎに起きたら鼻血でた。おわり。